新たな漫才復権…『THE MANZAI 2011』
一時は、島田紳助引退によって中止も噂されていましたが、無事に開催&放送されました。
最初はどうしても“M-1が終わったから始まるだけなんでしょ”みたいな曖昧さもあって不安もありましたが、徐々に肉付きされていって最終的には放送が待ち遠しくなってました。
正直に言えば、4時間10分は長すぎた…。
途中、ファイナリスト4組のネタを、爆笑問題やワラテングラフを交えてとは言え丸々プレイバックしたり、ワイルドカード進出者発表から漫才までのタイミングもかなりテンポ悪かったと思います。そこはやはり、まだ第1回大会として荒削りな部分が目立ち、改善すべき点はあったと思います。
でも、それらを差し引いても純粋に「漫才」が面白かった。
『M-1グランプリ』は、その緊張感ゆえにドラマが生まれる瞬間に興奮を覚えましたが、『THE MANZAI』は逆に緊張感を極力削いでいくことで漫才だけに集中することが出来た。ここら辺、関西では最終週しか放送されなかったのでハッキリとは知り得ないのですが、事前番組『おかっちM.C.』で連日培ってきた空気感が上手く作用していたんじゃないかと思います。
このM-1との差別化は、総じて成功していたんじゃないでしょうか。
(緊張感を削ぐ、というのは番組演出や視聴者に対してであって、もちろん漫才師16組は緊張バクバクだったでしょうけど…)
それでは肝心の本編を、ブロック単位で見ていきたいと思います。
【Aブロック】
囲碁将棋、磁石とM-1グランプリにおいても近年 決勝新進出が有力視されていたコンビが並ぶ。そんな中で、チキチキジョニーがまさかの毒舌キャラ。予想外で面白かった。しかし、やはりここはナイツが貫禄ありましたね。ワラテン評価も性質上、やはり手数が多い方が有利に働くだろうし。
【Bブロック】
予選上位者が居並ぶ“死のブロック”と表現されましたが、そこから勝ち残ったのが予選ブービー*1だったHi-Hi!ある意味、今大会で一番の波乱でした。スリムクラブは、この一年で見慣れて手の内を知ってるはずなのに、それでもあのテンポで意表を突くワードが出てくるセンスは見事でした。ハマカーンは、「下衆の極み」スタイルを大舞台で披露しているのが嬉しかった。だからこそ、このブロックでは一番期待していたんだけど、よもや1組だけ1票だとは…。
【Cブロック】
決勝進出のなかで最もベテランである博多華丸・大吉、なんというか渋い漫才を見せてくれました。たけしに賞賛されての、「岡村くん、泣きそうや」という大吉のコメントも含めて、一つの見せ場でした。アルコ&ピースは、コントで見せる着想は大好きなんですが、今回のネタはう〜ん。まあ、それもメタ的に突っ込んでたから折り込み済みなんだろうけど。パンクブーブーは、昨年のM-1グランプリ同様“語尾を変形させる”漫才でしたが、バリエーションがさらに入れ乱れて凄かった。
【Dブロック】
とにかく千鳥の躍進が嬉しかった。これまでM-1グランプリにおいては“最下位”のイメージが強いだけに(^-^;; その不遇を乗り越える姿に感慨深さもありました。エルシャラカーニは、『ぐるナイ』おもしろ荘での支離滅裂ぶりが好きだったので、スタイルはそのままにこんな進化していたとは…と見違えました。銀シャリは、最初に書いたけどやはりワイルドカード発表の段取りの悪さが災いした気がします。もっとスムーズならまた受けも違ったのかも。
【最終決戦】
もう、どのコンビも素晴らしかった。Hi-Hiの一世一代の熱演も、千鳥の漫才に白平さんが出てきた時の“待ってました!”感も、そしてナイツのぶっ込みも。いや、ナイツのこのネタ自体は以前もどこかで見たことはあったんですが、それでもこの生放送の大舞台で仕掛けてきたことの興奮たるや。
でも、それらを押しのけ初代王者の栄冠を勝ち取ったのは、パンクブーブーの圧倒的なまでの安定感でした。Cブロックとは対照的に、スタイル自体はオーソドックスに仕上げたネタでしたが、ひとつひとつのボケで確実に笑いを生んでいくクオリティは折り紙付き。圧巻でした。
そんなワケで、パンクブーブーの優勝には納得なのですが、一方で─
この『THE MANZAI 2011』の賞品である「レギュラー番組&各番組へのゲスト出演行脚」というのは、さほど世に知られていない未知数な人が選ばれてこそ、その先々でどんな化学反応が起こるのか…という楽しみがあっただけに、すでにM-1の栄冠も得ているパンクブーブーだったら、そこに面白みを期待することは難しいのかもしれないな、ということも厳しいけど付け加えておきたいです。
もう一つ余談に…
前述したとおり、関西では『おかっちM.C.』が放送されておらず雰囲気が分からなかったのですが、昨日放送の本家『やべっちF.C.』スペシャルで年末恒例になっている岡村登場のコーナーで軽くコラボしてましたね。正直、パロディしているのはタイトルだけだと思っていたら、セットもユニフォームも何もかも真似していたんですね(笑)。これはやりすぎだ…矢部が毎回オープニングで嘆いていたのも頷ける(笑)。
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*1:決勝進出15組中14位という意味で。