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【ネタバレ】「退屈」な2時間…デスノート Light up the NEW world

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映画『デスノート Light up the NEW world』、観てきました。

デスノート』が10年の時を経て、再び映画化。
前2作が、原作コミックの映画化として出色の出来だったので、今作も楽しみでした。一方で、完結しているのだから今さら蒸し返されるのもなあ、という不安も持ち合わせていて。
残念ながら後者の予感が的中する形となりました。

自分が『デスノート』に求めていたのはコレじゃない…
ストーリー自体は派手で、息もつかせぬ展開を見せてくれるんだけど、違うそうじゃないんだ、と何度も反芻してしまう「退屈」な2時間でした。


以下、ネタバレ!も交えて振り返っていきます。
そして今回の記事、思いのままに語っているので長いです…苦笑。ご了承ください。


とにかくデスノートのルールを駆使した駆け引きや頭脳戦が、ほぼ無かった。
これに尽きると思います。

デスノートの存在がすでに捜査本部などで知られた状態でのストーリーだからか、ノート自体の争奪戦という、なんというか“ノートの外”でバトルが繰り広げられちゃってる疎外感がありました。
引いては、ノートの巧みな使い方で出し抜いてやろう、なんて見せ場も少ないし、「デスノート」という存在を世間に秘匿しなきゃいけないという設定もどんどん雑になってくる。
後半、ノートのページが街中に舞っていくシーンは、ダメダメばれちゃうー、とこっちが心配してしまった。

10年後を描く以上は、デスノートの存在を知らない世界には出来ないけれど。
登場人物の対立軸なんかは一度「リセット」された新たな物語を観たかったのだけど、あくまでも10年前の「続き」を描こうとしていたのが、自分が見たかったものとの齟齬だったのかなあ、と。
キラの思想に共鳴する紫苑(菅田将暉)というキャラ設定はいいのだけど、映画として夜神月(藤原竜也)を変に神格化して描きすぎだったと思いました。

そもそもなんだよ、ライトの遺伝子って!!
ライトは「自分が死んだら代わりに…」とか、そんな殊勝なことを考えるタマじゃないよ。もっと独善的で歪んだ正義感の持ち主、というのが自分のライト像です。
キラ崇拝とライト崇拝がごっちゃになってるのも違和感があって、今作の描かれ方は好きじゃないかも。


そんななかで唯一、デスノートらしい見所があったすれば…。
三島創(東出昌大)が元デスノート所有者で、その記憶をなくしていた、というどんでん返し。

3人の主役が、Lの後継者、キラの後継者…と来て、彼だけが立ち位置的に浮いていたので、これはひと癖ある展開が待っているだろうな、とは予想していました。
だから「なるほど、そう来たか!」とこの場面は結構、舌を巻いたんですよね。
さあ、ここから一気に三島創が悪役に化けるか、ワル東出も見たいぞ、なんて期待していたのだけど。そこからまた「仕方なかったんだ」とかクドクドと始まってしまって…。
その後の悪い意味で怒涛の展開と相まって、主役を悪役にする気概もなかったのか、と落胆した瞬間でした。


総じて。
デスノートをめぐる新しいアイデアを持ち合わせていないのなら、今さら掘り起こして撮ってほしくなかった、というのが正直な感想ですね。
この映画のおかげで『デスノート』絡みの展開もたくさん観れたし楽しめたことには感謝だけど、映画単体としては納得のいくものではありませんでした。


以下、映画を観ながら「あ、こんなトリックがありそう」「こんな展開になるかも」とか推理・予想しながら観ていたのに、すべて肩透かしに終わった事柄を並べてみます…笑。

◆7冊目以降のノートは効力を発揮しない
6冊のノートが出てくるのが見所の1つだった今作。そして冒頭で、このルールが死神ベポから語られていたので、これは必ずストーリー後半で関わってくるだろうな、と思ってた。
書いたけど死なない…残念それは7冊目でしたとか。1冊が燃えて、その7冊目が効力を持ち直すとか。
7冊目のノートの出所としては、死神ベポかアーマが死んで、そのノートが人間界のものになるとか。

◆紫苑の折り紙が、デスノートの紙で折られている
オブジェだと思って触ったら死神が見えたり、記憶が戻ったり。

◆ノートに書かれた死亡宣告が、デスノートじゃない
紫苑が御厨賢一(船越英一郎)に突き付けた、自らの死について書かれたデスノートのページ。
いやはや、このやり口はなかなか卑劣でサディスティックでした。
御厨はこれで死んでしまったけど、こうやって見せつけておきながら、実は書かれていたのは普通のノートだった、という見せ方もあるなあ、と。
だから、松田(青山草太)の名前が書かれていた時は一瞬この予想が過ったのですが結果は…。

松田は、あの殺され方は少なからずショックでしたが。
そこに至るまでの描写は、わりと良い上司ぶりで好感。三枚目キャラだったとは言え、仮にもL本人とともにキラと戦った数少ない当事者なのだから、10年後の今作でも三島らに出し抜かれるような扱いだったらイヤだなあ…と思っていたので、捜査本部を指揮する姿は嬉しかった。

弥海砂に争いを終わらせてほしかった
松田と同じく、今作で死を遂げた原作キャラ・ミサミサ(戸田恵梨香)。
紫苑からのコンタクトに対しても一線を引くあたり、前半は冷静な大人ミサミサの姿があったのですが、最後に及んだあの凶行には呆れに似た思いが。
大人ミサミサに今作においての役割を持たせるとするならば。
「記憶のない10年」を過ごしたことで、ライトへの好意はそのままにキラの行いに対しては否定する考えを持ってほしかったなあ、と。
家族を殺した犯人を粛正してくれたからキラ賛同…という憎しみの連鎖を断ち切る勇気を持ったミサミサが見たかった。