M-1グランプリ2010
笑い飯、優勝ーーーーーッ!!
『M-1グランプリ2010』最後の大会で、笑い飯が優勝をものにしました。
2度目となる2002年以来、9年連続出場しながらも、いつもあと一歩のところで優勝を逃し続けていただけに、積年の思いが実ったM-1ラストイヤーの優勝劇は、ちょっと感慨深いものがありました。
いや正直なところ、最終決戦のネタだけを見れば笑い飯が突出していたわけでは無かったし、スリムクラブの熱量も侮れなかった。けどまあ、松ちゃんの言葉にもあった通り、今大会の笑い飯だけではなく、M-1ラストイヤーとしての表彰だったんでしょうね。それはそれで賛否あるかもしれませんが、個人的には良かったと思います。
そして、M-1グランプリ10年の節目であり、次の時代の到来。
スリムクラブの衝撃に、ちょっとそんなことを感じました。
正直、どう説明して良いのか分からないけど、とにかく面白かった。あのスローテンポ。あの抑揚。あの一挙一動。何もかもが『M-1グランプリ』という舞台において異質であり、そして新しかった。最終決戦の「民主党」のくだりなんか、神懸かってました。
かつて漫才ブームの頃、“しゃべくり漫才”としてスピードの進化があったなか、ダウンタウンの一転ペースを落とし発想力で勝負した漫才が世代交代を巻き起こしました。『M-1グランプリ』も基本、4分間にいかにボケを入れられるか、が勝負でした。笑い飯のWボケや、ナイツあたりを筆頭に“手数論”という捉え方が浸透したりもしました。そこに現れた、スリムクラブ。この系譜は、大袈裟だけどダウンタウンの再来のように感じました。
(と言っても、ダウンタウン登場の頃を世代的には全く知りませんし、紳助が当時を語るときに用いる喩えを表層的になぞっただけになってしまうのですが)(あくまで漫才の系譜という点においてなので、スリムクラブがダウンタウンみたいな大スターになるという話でもありません)
で、それを言い換えれば、スリムクラブというのはM-1の範疇ではなく、M-1が終焉を迎えるこのタイミングで足音が聞こえてきた、次の時代の台頭なのかな、と。
そういう点では、“M-1の寵児”笑い飯、“次代を予感させる”スリムクラブ、“M-1正統派漫才”パンクブーブーが揃い踏み、という今回のファイナリスト3組は、M-1最後の大会としては様々な意義や因縁も感じさせて、なかなかどうして見事なメンツが揃っていて見応えがありました。
敗者復活から勝ち上がった前年チャンピオン・パンクブーブーは、“M-1正統派漫才”と括りましたが、しかしながら新しいネタをきちんと仕上げていてこれまた面白かった。ただ、どのネタ番組で見たのか覚えていないのですが*1、ショートネタで見た時のインパクトに比べると4分間に構成した分だけの跳ね上がりは無かったかな、というのが口惜しいところ。最初のアイデアが大好きなだけに残念…。
期待していたカナリアは、う〜ん自分としては初っぱなから笑ったし悪くなかったと思うので、トップバッターとは言え、最下位で唯一500点台とは手厳しい。その次のジャルジャルが、個人的には面白さが今一つピンと来なかったのでそれにも負けたのはちょっとショックだった(めちゃイケオーディションの時といい、なんかアンチジャルジャル化しつつあるな(^-^;; )。
ナイツ、ハライチは、持ち味を活かしつつ前年からワンアイデア加えてきた感じ。その方向性で、もう一年突き詰めれば更に良くなりそうだなあ、と感じたんですが、嗚呼M-1は今年で最後…。無情です。
銀シャリは直接今回のネタとは関係ない部分ですが、橋本の“うまい事言う”トークが、“ねづっちの謎かけ”みたいなブレイクしないかなあ、なんてちょっと期待しています。
そんなこんなで『M-1グランプリ』、最後の大会も終わってしまいました。
年に一度、こちらまでもが一抹の緊張を覚えながら観る笑いの風物詩が、これで無くなるかと思うと寂しいところです。しかし、今回の波乱の結果が、同時に“次への期待”も抱かせてくれた気がします。それが、どんな形で現れるのか分かりませんが、楽しみにしたいところです。
(今回の放送終了時にでも、はやくも何かしらの予告めいたコメントぐらいは出るかな、と期待していたのですが、さすがに無理でしたね…)
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*1:レッドカーペット末期だったかなあ。