個人的不定期雑感はてな

本サイトとは別に、任天堂ゲームやテレビ番組について徒然と。

伏線と叙述のM-1グランプリ2016

M-1グランプリ2016 公式サイト

natalie.mu

M-1グランプリ2016が昨日、生放送されました。

5年ぶりの復活となった昨年大会同様、出場者の煽りVTRもなく、そして何より非常にレベルの高い大会でした。
最終決戦3組は、昨年はまだ方向性の違いが分かりやすかったけど*1、今年はその差異も少なく、いずれも大阪のしゃべくり漫才。過去最高に悩ましい選考の末のチャンピオンだったんじゃないかと感じました。


その激戦を制し12代目チャンピオンに輝いたのは、銀シャリ
昨年ファイナリストの優勝候補が、さらにネタを磨いて帰ってきた、って感じでした。
とにかく1本目のネタ「ドレミの歌」が圧巻。
モチーフ1つで、次から次へと出てくるボケも多彩で、伏線と回収も見事。最後は銀シャリらしいユニゾンで絞める、見惚れるような構成だった。
だからこそ、こんなネタがもう1本来たらド偉いことになるぞ、と期待したのですが。ごめんなさい、さすがに最終決戦のネタはこれよりは見劣りしたかな。
それでも補って余りある貫禄の優勝でした。

銀シャリが伏線なら、スーパーマラドーナ叙述トリックのような鮮やかさだった。
1本目に披露した「エレベーター」のラストに仕掛けられたどんでん返し。面白かった。
確かにキリッとしてたし、なるほど、だから途中で名乗らなかったワケか…とミステリさながらの合点が行くオチでした。
最終決戦で見せた掛け合い漫才も良かった。
強めに叩いたら客席から悲鳴が上がって、すかさず「痛くないように叩いてるんですよー」って入れてきたのがスゴイ!
それを入れてもテンポ崩れないし、なによりちゃんと笑いになっていく。
オードリーの「エヘヘヘヘヘ」もそうだけど今の時分、強めのツッコミ入れる場合はこういうエクスキューズを用意しておかないとダメみたいね。
もしかしたらカミナリは、そういうところが響いたのかもしれないなーと。ネタのなかで“絆”が分かるワンアクションが欲しかった。

敗者復活戦からの勝ち上がり、和牛
やっぱりM-1グランプリは敗者復活からの勢いが強い、今年も最終決戦へと勝ち上がりました。
掴みの設定がいいからなのか、気付けば始まりからスーっと面白いっていう不思議な感覚でした。
水田の理屈っぽいキャラクターがいい形で昇華して、それを拾う川西のツッコミも心地よくて、ひとつひとつの掛け合いが面白い。
カセットテープじゃなくて、MDがもう「時代遅れ、最後の1人」とか言われちゃう時代なんだなあ。

相席スタートも、山﨑ケイのイイ女キャラに留まらずに展開させていける、いい設定を見つけたな、って感嘆しました。選球眼。
順位こそ最下位になってしまったけれど来年、活躍は増えるんじゃないでしょうか。まずは『怪傑えみちゃんねる』で。

一方で最下位脱出となったのがハライチ
RPGのネームエントリー部分で遊んだネタ、そりゃ分からない人には分からないよね…。
澤部のツッコミを、岩井がイエスと取り違えて先々へと進めていく、っていうパターンにもうひと捻り欲しかったかな。

さらば青春の光は、やっぱり自分好み。面白かった。
「能やん、能やん」と来て、一字違いの「能なん?」がツッコミワードになるのがツボ。
こんな感じで「能」「浄瑠璃」単品に留まらない語感の遊びが上手い。「前半能で後半浄瑠璃なん」「もう浄瑠璃」。

最後に敗者復活戦に目を向けると。
この前の記事で、注目株として挙げていた兄弟コンビ・ミキ。
前述の通り、残念ながら和牛には敗れたけれど、それに次ぐ敗者復活戦2位の好成績!彼らとしては、充分に爪痕を残せたと言っていいんじゃないでしょうか。
来年に期待してます。